倉敷、五軒屋から連島を抜け、霞橋へと続く道。
通称、藤戸連島線。
その道上には、面白い地名があります。
一つは、「ヤットコ」。
ちょうど連島東小学校へ向かう交差点のあたりの地名です。
ここがなぜ、ヤットコと呼ばれているのか。
それはこの交差点あたりに立って、東西に伸びる道を見るとわかります。
ちょうど交差点のあたりを頂点として、緩やかだけれども長い坂が両側に続いているのです。
昔々、まだ人力が運送手段の中心であったころ。
大八車に荷物を載せて、このあたりを通っていると、この長い坂は、それはそれはきついものであったそうです。
そうやって荷を運ぶ人たちは。
ヤットコあたりの坂の頂点にたどり着いたとき「やっとここまで着いた」と言ったり。
「ヤットコ、サットコ」と掛け声をかけながら、ここまで上ってきたそうです。
そうして、このあたりが「ヤットコ」と呼ばれるようになったのです。
もう一つの面白い地名は、「ドンドン」。
ヤットコからもう少し、西に行ったところです。
ここもまた、その昔の話。
大雨が降ったときには、山から音を立てて水が流れ下ってきたそうです。
その音がドンドンと大きく聞こえたことから、このあたりは「ドンドン」と呼ばれるようになったのです。
同じ市内の玉島・陶にも。
同じように急流の音から名づけられたと言われる、百々(どうどう)という地名があります。
ここもまた、急流の音が「ドウドウ」と聞こえたことが、その名の由来であるとのこと。
なかなかおもしろい地名の由来の一致ですね。
連島にある、「ヤットコ」と「ドンドン」。
こうした地名の由来の話は、言い伝えの範疇を出るものではありませんが。
この二つの地名は、両備バスの停留所の名前として、交差点の地名として、今も残っています。