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くらしき文化サポーター

中四国有数の拠点都市に成長した倉敷市。 観光地で有名なだけでなく、長い歴史と多くの文化遺産を有するまちなのです。少しずつ、このまちの文化を紹介していきたいと思います。

 農業初心者、宇野津の棚田の再生にチャレンジ、四年目。

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 気が付けば、ヒガンバナもその盛りを過ぎ、ほぼかれている状態になっていました。

 今日は、稲刈り前の最後の作業。
 機械が入りやすいように、畦の草刈りと株の周りの草の除去、ヒエ刈りです。

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 畦の際では、こんなふうに稲に草が絡みついていたり。

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 ヒエがひょいひょいと顔をのぞかせていたり。

 これらの処理です。

 ヒエは、オニビエではないので、まだ楽に処理できました。
 サボっているようで、オニビエは早いうち処理しましたからね。

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 意外に時間がかかりましたけれど、なんとかきれいになりました。

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 だいぶ、稲穂が首を垂れてきました。
 稲刈りは、再来週の週末の予定です。
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アニメによるまちおこしとツーリズム 考察4
 ― 舞台・ロケ地の公表とPRについて ―


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(滋賀県豊郷町の「飛び出し注意」の看板 アニメのキャラクターに「似せて」いる)


 鷲宮町豊郷町の取組のころには、まだアニメ作品の舞台(ロケ地)は公にされることはほとんどなかったと思います。

 ある意味、この時期のアニメツーリズムは、インターネットを中心としたファンの間における舞台の「答え探し」的な動きの延長であったと理解しています。

 しかし、2010年あたりから、制作側及び協力した地域が積極的に、事実を公表する流れになったと感じています。

 こうした動きは、舞台の「答え合わせ」を簡単にし、コアなファン層から一般的な(ライトな)ファン層のツーリズムを誘発し、結果、ツーリズムに参加する人数が増加することになり、目に見える経済的な効果も表れやすくなったのだと理解しています。

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●目次
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アニメによるまちおこしとアニメツーリズム ― 目次 ―

アニメによるまちおこしとアニメツーリズム
事例その1 埼玉県鷲宮町
事例その2 滋賀県豊郷町
事例その3 広島県竹原市
事例その4 茨城県大洗町
事例その5 鳥取県岩美町
事例その6 岡山県倉敷市(下津井地区)
事例その7 岡山県浅口市(金光町)
事例等から考えられる課題について
考察1 定量的な成果について
考察2 コンテンツの当たり外れと長期的な誘客の不透明性について
考察3 初動の対応(コストパフォーマンス)について
考察4 舞台・ロケ地の公表とPRについて
⒁ 考察5 受入側の体制づくりや機能的な役割分担について
⒂ あとがき


【参考】
一般社団法人アニメツーリズム協会
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アニメによるまちおこしとアニメツーリズム 考察3
 ― 初動の対応(コストパフォーマンス)について ―


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 色々と事例を紹介してきましたが、アニメのロケ地であることのメリットは、そのコストパフォーマンスの高さにあると考えています。

 映画のロケ地と比較してみれば理解しやすいでしょう。

 映画のロケをするためには、どれほどの人的・経済的負担がかかるでしょうか。
 土地や道路の占有許可、役者及びスタッフの拘束、撮影機材の設営、・・・。
 これまでの映画の撮影には、官民を挙げた組織だったり、大規模な予算の動く組織が必要だったことからも分かると思います。

 一方、アニメのそれはあくまで架空のもので、地域はその背景として取り込まれるだけなので、大規模な撮影チームも必要ありませんし、小規模で行動できるがゆえに複数回のロケーションハンティングも可能です。

 なにより、鷲宮町や豊郷町においては、ロケーションハンティングがいつ行われていたのかも地域が気づかないような、「制作側だけで可能」な動きだったわけです。

 どのような展開になるかわからない、正直に言えば「その作品が当たるかどうかわからない」時点での判断でも、ロケ地におけるコストの低さ、負担の低さを念頭に置くとリスクヘッジには十分できていると考えます。


●目次
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アニメによるまちおこしとツーリズム 考察2
 ― コンテンツの当たり外れと長期的な誘客の不透明性について ―


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 大洗町の事例の報告、「NRIパブリックマネジメントレビュー vol.131」(野村総合研究所(NRI))では、アニメでまちおこし、ツーリズムの「根本的な課題(あるいは宿命ともいうべきもの)」がうまく整理されていましたので、「いいことばかりでは無いかもしれない」といった参考に紹介します。

・コンテンツそのものがヒットするか、相当に不確実性が高い。
・各コンテンツはいわば「ナマモノ」であり、期間の長短はあるにせよ、その需要は長期的には逓減していく。

 当然のことですが、盛り上がっている間は忘れがちになるのかもしれません。(そういった地域も見てきました)

 まず、1点目。

 作品が当たるどうかは、そんなものはわかるはずありません。(ある程度は予測できるかもしれないが)

 そう考えると後に記述するように、受入側の体制を整えるコストと、得られる地域の利益というリターンとの「釣り合い」を考えたうえでの動きが理想的なのでしょう。

 (これまで見てきたところを含めて)個人的には。
 チャンスを作ることよりも、チャンスを逃さないことの方に重きを置いた体制づくりが適切であると思います。

 具体的に言えば、制作時点で多大な投資をするよりも、作品が当たった場合に機会を逸しない体制づくりを想定しておいた方が適切だと考えています。

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 次に2点目。

 どんなコンテンツにも寿命があり、常に新しい作品がリリースされる以上、コンテンツを利用したまちおこしは永遠に続くものにはなりません。

 それでも、地域の対応次第で、かなりの長期間の取組になることは、今回取り上げた複数の事例からも分かると思います。

 アニメツーリズムで訪れた観光客がリピーターになる、あるいはファン自身が地域でイベントの企画をしたり、まちのボランティアとなるパターンも紹介しました。

 しかし、彼らは自然にそうなったのではなく、ファン同士や特に地域の人たちとの交流の中でそうなっていった場合がほとんどです。

 「リピーターになる」「ファンと地域の人との交流が始まる」「作品のファンがまちのファンになる」というのは美しい成果ですが、そのためには、やはり温かいふれあいや交流、おもてなしの心が根っこに必要なのだと思います。

 これは一般の観光地にも言えることなのかもしれません。

 また、鷲宮神社や大洗あんこう祭りの来訪者の数値からは、作品のファンそのものよりも、有名であるから行ってみようとか、面白そうだから行ってみよう、といったツーリズムの動きが明らかだと思います。

 これは息長く続く「観光地のブランド化」と、本質的には全く同質の取組だと思います。

 なお、このカテゴリで取り上げた「アニメでまちおこし」「アニメツーリズム」について、今となっては、硬軟あわせた報告書が多数公開されています。

・先行研究者によるもの。
・官公庁が発行するもの。
・民間シンクタンクが発行するもの。

 事業を進めるうえでのポイントを紹介したものも多いので、図書館などで閲覧してみることをお薦めします。


●目次
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アニメによるまちおこしとアニメツーリズム 考察1
 ― 定量的な成果について ―


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  まちおこしやツーリズムを語るときには、数値を求められることが多いものです。

  数値だけが本質を表すものではないことは承知の上で、でも、もし自分が上司や他の組織を口説くならば、と想定した数値をかつて用意していました。

 今となっては出典が不明になったもの、(主として訪問した時点の調査のため)数値が古いものがありますが、誰かの参考になればと、アニメによるまちおこしの「定量的分析」の一部を、ここに置いておきます。


1.鷲宮町の場合

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・舞台となった「鷲宮神社」の初詣の参拝者数
 テレビ放送、まちおこしに取り組んだ翌年から参拝者数が3倍以上に伸びた。

・推定経済効果
 約4年間(2007年~2012年)の推定経済効果は約22億8000万円(鷲宮町商工会の試算による)。



2.大洗町の場合

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・作品にも取り上げられた「大洗あんこう祭り」の来場者数
 テレビ放送の年に約2倍、その後4倍に伸びた。

・2013年3月~2014年3月の1年間における観光客は159,000人、かつ経済効果は7.21億円と見積もられた。(「NRIパブリックマネジメントレビュー vol.131」(野村総合研究所)による)


●目次
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アニメによるまちおこしとアニメツーリズム
 ― 事例等から考えられる課題について ―


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(倉敷市下津井田ノ浦地区 「ひるね姫」の舞台の一つ)

 ここまでに紹介した事例などから見える「課題」を、最大公約数的にまとめたいと思います。

・定量的な成果が不明(数値が出にくい)。
・取り組んだコンテンツが当たるかどうか。
・長期的な取り組みになりにくい。
・当初期、制作時点では、積極的に地域が動きづらい。
・アニメに取り入れた舞台(ロケ地)がわからないのでPRできない。
・受け入れ側の体制づくりや機能的な役割分担について。

 以上の課題について、考察の結果をまとめたいと思います。


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 NPO法人倉敷町家トラストの毎年の定例イベント。
 備中エリアの古い町家の残る町並みを歩くイベントです。

 私は、昨年、藤戸町天城のまち歩きのお手伝いをしており。
 今年は、私がガイドすることになります。

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 天城の絵図で最も古い、宝永元年(1704年)の絵図。
 ここに描かれてている道のうち、今でも残る道を歩きながら、町家と今も残るランドマークを確認します。

 あまり詰め込みすぎずに、のんびりと周りを見ながら歩いてもらおうと思っています。

 一方で、旧跡やランドマークの説明では、根拠をもって正しく伝えようと思っているので。
 かなり詰めて調べているつもりです。

 そうすると。
 正しく覚えていないなあ、とか。
 伝承を証明する文献を探す、とか。
 「この旧跡はすごい」と言うために、他の土地の旧跡を調べて比較したり、とか。

 ついでに、長年気になっていたことを、勢いをつけて調べて、説明を組み立てています。

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 そうしていると。

 図書館が閉館とか。
 貸出禁止の貴重図書の閲覧ができないとか。
 岡山大学の図書館に至っては、一年以上、学外の人間は立ち入ることができないとか。
 兵庫県や大阪府の図書館や旧跡まで調べに行きたいのに、ちょっと遠慮せざるを得ないとか。

 地味に、コロナ禍が原因で調査や論考が停滞しています。

 旧跡巡りのガイドの得意な先輩たちを見るに。
 丁寧な知識の積み重ねと、その幅の広さが、説明の面白さにつながっているからこそ、しっかりと調べないといけないのになあ。

 さあ、どこまで諸先輩方に近づけるか。。。


 私の担当、「天城・藤戸の町並み散策」。

 日時: 令和3年11月28日(日) 10:00~12:00
 場所: 天城小学校に集合、解散

 となります。
 よろしければご参加ください。

 いくつかのポイントは、そのうち、このブログにもアップするつもりです。


備中 no 町家 de クラス
 期間: 令和3年11月13日(土)~12月5日(日)
 主催: 備中町並みネットワーク

 申込先: WEBサイト 備中 no 町家 de クラス
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アニメによるまちおこしとアニメツーリズムの事例 その7 岡山県浅口市(金光町)

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 作品の放映開始は1992年。
 他の作品のヒアリングに協力してくれたファンから教えてもらったのが、浅口市金光町上竹の「太老神社」です。
 初めて訪問して調べたのは、2014年。

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(岡山県浅口市金光町上竹 太老神社)

 最初の作品公開から、20年以上が経過している時です。

 それでも、いまなおファンが訪問し続けていることに驚かされたスポットです。

 「天地無用!」シリーズは、おそらくアニメの舞台(正確には地名のみ)となった地をファンが訪問する、という最初の動きが見られたもの、だと思います。

 当初から作品の関連する地を訪ねる動きはあったようですが、岡山県下全域という広いエリアのため、また鷲宮町に先駆けること15年という早すぎる動きのため、私を含め、多くの人はその動きを認識しないままだと言えるでしょう。

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(拝殿の屋根修繕に多額の寄付をしたファンに感謝する神社の足跡)

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(盗難・破壊された後に、ファンから寄贈された賽銭箱)

 それでも太老神社に尋ねたところ(知り合いがここの氏子だった)、

・神社が困ったとき、ファンによる多様な寄贈(賽銭箱・屋根の修理)がある。
・神社と、今に至るまでの20年近く交流のあるファンもいる。

 ことが分かりましたし、神社にある交流ノートには、当初訪問したファンが、10年、20年後に再び訪問した記録が残っていたりします。

 例えば、近隣に出張のついでに懐かしく立ち寄ったとか、10年前は友人と訪問したが、今は自分の家族と訪問した、などが交流ノートには書かれています。

 最新シリーズが2014年にも放送されるなど、作品の息が長いことも、この長いツーリズムを支えている一因でしょう。

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(拝殿脇に取り付けられているファンの交流ノートの入っているボックス、通称「天地箱」)

 鳥取県境港市の「水木しげるロード」の例があります。

 観光関連の報告書によれば、来場者数には波があります。
 その波は、関連作品の放送に同期しており、「ゲゲゲの鬼太郎」の新シリーズ放映開始やNHK連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」などの放映があると、来場者数は復活していることがわかります。

 間が空いても新作が作られるなど、シリーズが長期間継続し、愛され続ける、ということも、この種類のまちおこし・ツーリズムには大きな影響を与えています。

 当事例は、アニメツーリズムで類を見ないほどの息の長い動きですが、ファン以外は関わらないことや、事業主体がいないため地域が気付いてさえいないこと、は惜しいことだと思います。

 アニメでまちおこし、ツーリズムというものは、一般的に言われるように短期間で消費されるものばかりではなく、長期間にわたる動きになる可能性もある、ということは、この事例から学ぶべきだと思います。


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アニメによるまちおこしとアニメツーリズムの事例 その6 岡山県倉敷市(下津井地区)

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 作品の放映開始は2017年。
 「下津井」を訪問したのは、2017年。
 (というか、釣りなどで日常的に行っている)

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(公共施設 「むかし下津井回船問屋」内の展示)

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(下津井地区を走ったラッピングバス)

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(2016年12月10日の山陽新聞朝刊の記事)

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(JR瀬戸大橋線・児島駅 駅構内の観光案内所)

 事業として目についたのは、

・ラッピングバス等が走る。
・期間中のスタンプラリー。
・舞台となった地区の公共施設へのパネル、公式スタンプの設置。
・JR駅構内の観光案内所での紹介。
・東京のアンテナショップ(とっとり・おかやま新橋館)での展示紹介。

 など。

 市議会でも、アニメと関連した刊行・地場産業振興に関する、質問・答弁が行われてました。

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(倉敷市のアニメツーリズムの公式ガイドマップ)

 さて、放映が映画のみ、というのはこの手のまちおこし、ツーリズムにとっては不利だと考えています。

 テレビ放映のように毎週新しい話が公開されないし、一作で完結し、基本的に次期作品がない、という点において。

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(作品中の舞台の一つ)

 それでも、出会った何人かのファンからのヒアリングでは、

・関西圏などの近場のファンの訪問が多い。
・他のロケ地(香川県等)とあわせた「ついで」のファンの訪問が目立つ。

 といった特徴を聞くことができました。

 「他地域の『ついで』の訪問」というのは、私の認識にはない視点でしたので、なるほど「多地域連携」型という可能性も考えられる、という点に気付いたものでもありました。

 ちなみに、民間主導とはいいながら国も後援している取組に「アニメツーリズム」というものがあります。
 ご覧下さい。


【参考】
一般社団法人アニメツーリズム協会



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アニメによるまちおこしとアニメツーリズムの事例 その5 鳥取県岩美町

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 作品の放映開始は2013年。
 「岩美町」を訪問したのは、2017年。

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(JR山陰本線・岩美駅 その隣にある「岩美町観光会館」)

 ファンからは異論もありましょうが、スポーツものであること、男子高校生たちが主人公であること、などから「RE-MAIN×倉敷」に近しい事例だと思います。

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 ここで最も驚いたことは、明らかに「海外からの旅行者」が多いこと、でした。

 名作を作り続けている制作会社の作品ということもありましょうが、海外にも通じる訴求力、インバウンドへの訴求力に驚いたものです。

 放送開始から4年を経ても、台湾・韓国・中国からの一人、もしくは少人数の若い女性の観光客が多い、のです。

※ ちなみに、鎌倉高校前の踏切のように、日本のアニメ作品におけるロケ地には、数十年を経ても海外からの旅行者が来ます。子どものころに見たアニメの場所を大人になってから訪問する、というパターンだと分析されています。

 そのうえで、公共交通機関が便利ではない地域への、海外からのツーリズムに対応するための町の苦心が垣間見られました。

・海外からのツーリズムのため、自動車が運転できない。つまり公共交通機関や自転車に頼るしかない。
・交通が不便な地域なので、一泊以上の旅行者が多い。つまり宿泊先の確保と宿泊先での外国語対応が必要。

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 この課題を解決していたのが町観光協会(岩美町観光会館内)の取組です。

・ロケ地案内マップは、日本語・英語・中国語に対応。
・海外からのメールを翻訳し、対応するのは、問い合わせの総合窓口的な立場の町観光協会。
・メールなどを翻訳し、やり取りをし、民宿などへの予約までを観光協会が手配。
・町に訪問した際には、観光協会で案内をする。
・そのために、観光協会には県から貸し出されたiPadの翻訳ツールがある。

 といった取り組みでした。

 あまり長居をしなかった地域ですので、この程度の事例紹介です。
 次の機会があれば、もっと踏み込んだ調査を行います。


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アニメによるまちおこしとアニメツーリズムの事例 その4 茨城県大洗町

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 作品の放映開始は2012年。
 「大洗町」を初めて訪問したのは2013年。

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(大洗町の玄関口 鹿島臨海鉄道・大洗駅 鉄道会社がノリノリ)

 この町にはアポイントも取らず町並みを見て回るだけのつもりだったのですが、立ち寄った食堂で思いもかけず商工会の会員・役員、町議が集まってくれ、話を伺うことができました。

 まちおこしの中心は大洗町商工会。

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(スタンプラリーが終わっても、商店街の店舗に設置されているキャラクターパネル)

 最も特徴的な動きとしては、作品公開の1年前に制作会社から大洗町・大洗町商工会に協力依頼があったということ。

 前記事の竹原市も、制作側からのアプローチがありましたが、私の印象ではクリエイター陣が中心となった動き、といった印象が強いものです。
 対して大洗町では、制作側が複数の会社を統括して協力を申し出ていた印象です。

 著作権の使用許可の調整、ツーリズムのノウハウ、今後の町に起こり得るメリットとデメリット、など、おそらくは2007年以降のアニメツーリズムの流れで、制作側が蓄えたノウハウが地域に提供されていた、と理解しています。

 この手のツーリズムのノウハウは普通の町にはないものということを考えると、大洗町では最初から全開でのスタートができたのではないかと思います。

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(大洗磯前神社に奉納された、地域の会社によるキャラクターの大絵馬)

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(神社の絵馬殿 訪問したファンによる鈴なりの絵馬)

 例えば作品中でも取り上げられていた「大洗あんこう祭り(2012年)」では警備員の数を倍増するように制作側から町に対して強いアドバイスがあったため、一気に2倍近くに伸びた来場者を問題なく受け止めることができた、と聞いています。

 この作品とこのツーリズムの成功のころから、「制作側とツーリズムの対象となる地域が、事前に協力体制を作る」という、今に至る流れが目に見えるようになってきた、と私は理解しています。


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アニメによるまちおこしとアニメツーリズムの事例 その3 広島県竹原市

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 作品の放映開始は2011年。
 「竹原市」を初めて訪問したのは2011年。

 ここの「アニメによるまちおこし」の舞台は、江戸の風情が残る町並み保存地区と駅から保存地区へつながる商店街でした。
 まちおこしの主体は、NPO法人ネットワーク竹原で、後に竹原駅前商店街振興組合が加わります。

 竹原市では、公開前に制作側から協力依頼があったと聞いています。

 事前イベントの開催や町の住民との調整、行政への橋渡しなど、制作側からの依頼を受け止めたのは、町並み保存活動をしていた「NPO法人ネットワーク竹原」でした。

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 この作品のあたりから、制作側が積極的に作品の「舞台」「ロケ地」を公表する流れが出てきたように思います。
 (鷲宮町や豊郷町は、最後まで制作側が作品の舞台だとは認定しなかった)
 つまり、舞台となった地域が、公に作品との関係を表明できるようになった、ということです。

 最初はNPO法人だけの取組から、商店街が加わり、市も積極的に協力するようになり、協力者が増えていきました。このことは市役所に掲げられた大看板からもわかります。

 竹原市での取組の効果で3つ特徴的なものがありましたので、順に記述します。

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1.NPO主催のイベントへのファンのボランティア参加

 町並み保存地区では、昔から年に一回、町並みに灯りをともすイベント「たけはら憧憬のみち」が開催されていました。倉敷美観地区の「春宵あかり」のようなものです。

 ここでは、イベント中に灯りの「見張り番」をする人、片付けをする人が大量に必要です。
 ここにNPOと仲良くなったファンが手伝いに来たのです。
 NPOとしてもまじめに取り組むファンに大いに助かったそうです。

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2.特に東京圏からのファンの来訪が多いこと

 上の写真は、駅前商店街でイベントを開催した時のものです。

 「どこから来たの」と住んでいるところを聞いた結果です。
 県内は当然として、明らかに東京圏に偏っています。

 これは、施設などに置いてあるファンの交流ノートでも同様でした。

 「近隣でだけなく、東京圏などの人口が多いところからの来訪が多い」ことは、こうしたアニメの舞台を訪ねる旅行者の特徴の一つです。

 この点について、イベント当日知り合った広島県内の大学准教授(交通政策専門)と話し合った末の分析結果です。

・熱心なファン距離を苦にしないし、何度でも訪問する。
・契約が必要な専門チャンネルでなくとも、東京圏では「TOKYO MX」という深夜に新作アニメを多数放映している地上波がある。つまり作品の視聴者が東京圏に多く、ツーリズムにつながっている。

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3.NHK「マッサン」ファンとの消費行動の比較

 アニメのツーリズムと重なる時期にNHK連続テレビ小説「マッサン」が放送され、竹原市の「竹鶴酒造」が一躍脚光を浴びました。
結果、毎週末、大型バスツアーによる観光客が多数訪れるようになりました。

 しかし、ツアーによる観光客とアニメツーリズムの客層・消費行動は大きく異なると私は理解しています。
 一言でいえば、アニメツーリズムでは、舞台となった町の店舗(決して大手チェーンではない)での消費を好み、まちの人との交流が気に入れば長期間にわたり再訪問する、ということです。

 NHK大河ドラマの舞台などによる経済効果は数百億円規模と言われています。

 しかし、

・まちの店舗に収まりきらないような大人数の団体が来るため、飲食は大規模店舗か地域の外で賄われてしまう。
・短期間に多くの観光客が来るが、概ね放送の終了と同時に、潮が引くように来なくなる。
・つまり、大規模投資をするリスクも高いし、そもそも受け入れの体制が整わないうちに経済効果が無くなる。

 と考えると、少人数であっても、継続的に訪問し、まちの店舗で飲食・消費をするというアニメツーリズムに代表される旅行形態は、今後もっと注目されても良いのではないかと思います。

 小さく息の長い投資を行い、継続的な利益を得る、という相対的にリスクの低い経済循環を作ることができるのではないか、という点において。

 まちが豊かになるためには何が必要なのか。
 色々と考えさせられるまちおこしでした。


※決して大規模な旅行キャンペーンを否定しているわけではありません。

※ちなみに、ここで知り合ったNPO法人代表と話し合う中で、2012年9月の竹原市と真備町の竹楽器団の交流を企画しました。


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アニメによるまちおこしとアニメツーリズムの事例 その2 滋賀県豊郷町

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 作品の放映開始は2009年。
 「豊郷町」を初めて訪問・調査したのは2011年。

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 ここの「アニメによるまちおこし」も、中心となっていたのは若手を中心とする町商工会でした。

 ここの特徴は、行政や商工会の努力にもかかわらず、正式な著作権の使用が許可されなかったことでしょう。
 そのため、かなり苦労をしたようです。

 町が「○○のロケ地」などと公に言えないことが、事業を進めるうえで大きなブレーキとなってしまったことは想像に難くありません。

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 しかし、それを逆手に取るように、ファンによる自主的な情報発信(口コミ)や同人イベントが開催され続けました。

 また、見学・訪問や開催場所として、ランドマークとなる町立の無料公開施設は、作品中の舞台そのものでした。
 作品中の舞台をファンイベントに使用できることは、ファンにとっても大きなメリットであったことでしょう。

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 また、まちの複数の飲食店は、ファン達が通う店となり、町立の施設の閉鎖後、17時以降にファンの自然な集まりができていました。
 (集まりがあるとはいいながら、各店において一般のお客の苦情は全くなかった、ということも特筆しておきたい)

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 私が仲良くなった60歳代の店主の逸話を紹介します。

 まちおこしが広く知られるようになって数年後、この地域に竜巻が発生し、局所的にではありますが、店舗・住宅等に被害が出ました。

 ニュースを見た翌週、お見舞いの電話を掛けたときの店主のお話です。

 「被害の翌日に、いつも訪れるファン達からお見舞いと手伝いの申し出があった。」
 「無理をしなくとも良いと言ったが、被害発生の週末には手伝いに来てくれた。」
 「幸い自分の店舗の被害は小さかったので、近所の家の手伝いを依頼すると、快く引き受けてくれて一日中作業をしてくれた。感謝している。」

 他の地域の事例にもありますが、このような継続的に訪問してくれるファンによるボランティアはよく耳にします。

 お互いに気にかけ合う存在になったということは、単なる観光地としてのまちおこし、ツーリズムからは一段階進んだものと言えるでしょう。

 経済的な効果や人流拡大といった効果以外の、「アニメによるまちおこし」の効果の一端を学んだのが、この豊郷町でした。


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アニメによるまちおこしとアニメツーリズムの事例 その1 埼玉県鷲宮町

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 作品の放映開始は2007年。
 「鷲宮町」を初めて訪問・調査したのは2012年。

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(町内の舞台の一つ 鷲宮神社)

 鷲宮町は、今に続く「アニメによるまちおこし」のパイオニアです。

 この地を調べて感動したのは、アニメーション作品を理解できない町の人をも巻き込んでいく商工会の若手の力でした。
 また、その活躍は町にやってくる「ファン」と「商店街」と「町民」とのつなぎ役としても機能しました。

 まだ「アニメの舞台になること」が「まちおこしやプロモーション、ツーリズムのチャンス」だと認知されていなかった時代において、そういったプロモーションを「創り上げた」町だと思います。

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(鷲宮町商工会の公用車)

 私が調べて、「こりゃすごい」と感じた点を、当時のレポートから抜粋します。

○ファンが訪れ出してすぐに、ロケ地に控え、訪問するファンの声を多数聴き取った。
 これによりニーズを把握し、商品開発・イベントを即座に始めたこと。

○著作権の管轄元(角川書店)が状況を理解する前から、著作権等について交渉に行くフットワークの軽さ。
 さらに協力体制を築いた手腕。

○ファンと話し合い、知恵を借りながら事業を進めていったこと。
 しかし、ファンや事業者に丸投げはしておらず、商工会がハンドルをきちんと握っていること。

○タイアップイベントの「商店街スタンプラリー」では、初期経費を商工会自身が負担したり、参加店舗から協力金を集めるなど、開始時に行政などから委託料・補助金を得ていないこと。
 (紐付きでない自由さの担保ができる)

○スタンプラリーに参加した店舗には、きちんと目に見えるほどの対価(売上増)があったこと。

○数年間、複数回にわたり、継続的にイベント等の参加者(店舗・プレーヤー)を増やしていったこと。
 (短期間では終わらないまちおこし)

○ぼんやりとした「まちおこし」でなく、当初から「投資」「回収」「再投資」を考え、町における「経済循環」や「経済的な利益」をきちんと考えていたこと。

○ファン、商店街、住宅街の住民、と立場が異なる人たちの間で、きちんと意見を「調整」をしていること。

○町や商工会等がイベント等で得た利益で、町民の念願だった「街灯を多数設置」し、「ファンが来訪すること=町が良くなること」と目に見える形で表したこと。

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(駅から商店街・住宅街に続く道の街路灯)


 「作品についてはファンの方が詳しいかもしれない。でも『このアニメによるまちおこし』で何をすれば良いのかは、今、ファンよりも誰よりも私たちが一番良く知っていると思う」

 とは、ヒアリングの中で、商工会の担当者が私に話してくれたことです。
 至言だと思います。

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(東武伊勢崎線 鷲宮駅構内に展示してある神輿)

 最後に、資料として見せてもらった地元紙に掲載されたファンたちの声で、今も覚えている言葉を紹介します。
 ファンの気持ちを知り、ニーズに応え、町を挙げておもてなしをきちんとした結果が表れている言葉です。

 「ありがとう、あなたたちがいてくれて本当に良かった」

 この言葉に、鷲宮町のアニメによるまちおこしの成果が集約されている、と思います。


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